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リカちゃん人形に思う

 
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 この夏、日本に帰ったとき、私の母が娘に初めてのリカちゃん人形を買ってくれた。
 リカちゃん人形。私も小さい頃、大好きだった。

 娘がもらったリカちゃんは、金髪ストレートのロングヘアだ。私が最初に買ってもらったのは、茶色の、ゆるやかにカールした髪のリカちゃんだったように記憶している。いずれにしても、リカちゃんはフランス人のお父さんと日本人のお母さんのハーフなので、髪の色が薄いらしい。(ちなみに、私の子供時代、フランス人のパパは「船乗り」とされていたような記憶があるのだが、娘の人形についていたプロフィールを読むと、パパの名は「香山ピエール」で、「音楽家」となっている・笑)

 あるとき、アメリカ人の友人と人形の話になり、アメリカではどんな人種の子供でも共感を持てるように、白人だけでなく、黒人やヒスパニック、アジア人の人形が生産されていると指摘された。そういえばそうである。おもちゃ屋さんに行けば、ほとんどのメーカーの赤ちゃん人形に、白人バージョンと黒人バージョンがあるし(たまにアジア人バージョンも)、最近はやりの"Bratz"も、多様な人種の人形を出している。5th Ave.のNBA Storeでさえも、New York Knicksのユニフォームを着た、白人・黒人・アジア人・ヒスパニックの人形を販売していたと思う。

 そして友人は、日本人の子は皆、黒髪の人形で遊んでいるものと信じていた。私が、「日本では、真っ黒の髪の人形(装飾・鑑賞用の日本人形は別だが)は売っていない」と言ったら、彼はびっくり仰天していた。「なぜ日本人の子は、自分と同じ容貌の人形で遊ばないのだ?」と聞かれたのだが、そもそも「自分と同じ見かけの人形で遊ぶ」必要性があるなどと、考えてみたこともなかった「元少女」である私は、逆に彼の視点が妙に新鮮だった(笑)。

 しかし、なぜ日本の人形は、すべて茶髪か金髪なのか?
 日本人の欧米人に対する強烈な憧れは、明治時代に遡り、実に根深いものなのかもしれないが、大手化粧品会社が「アジアン・ビューティー」だの、「日本の女性は美しい」だのというコピーを採用するようになった現代において、おもちゃ業界だけはずいぶんと時代錯誤なのではないか?(笑)

 結局、友人との会話は、お互いに驚き合っただけで終わってしまったが、それから考えた。幼い頃から白人の姿をした人形と遊び、「理想像」としてあこがれることは、日本の少女たちにどんな影響を与えているのだろうか?少女たちは、無意識に妙なコンプレックスを植えつけられているのだろうか?

 答えは出ないけれど、唯一はっきりと思うのは、黒髪の人形があってもいいということ。
 もしも、金髪のリカちゃんと、黒髪のリカちゃんがあったら。
 多分私は、黒髪の方を選んだと思う。
 

 

 
by oktak | 2007-09-14 10:23 | その他
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