私がバッグづくりを始めるきっかけとなったのが、East VillageにあるElaine Arsenaultの店である。
East Villageには日系のお店が多いため(スーパー、ベーカリー、レストラン、居酒屋、美容室などがある)、割と頻繁に訪れる。ところがこのEast Village、日系のお店以外に、実にユニークなお店が多く、歩いていて飽きない。ヴィンテージの洋服屋、駆け出しのデザイナーのブティック、コーヒー豆やお茶の専門店、ちょっと風変わりなおもちゃ屋、輸入雑貨店、そしてたくさんのレストランやカフェ。 二年半ほど前のある日、家族でEast Villageを散歩していたときに、E.9th St.にあるElaine Arsenaultのショーウィンドーに目が釘付けになった。さまざまな布をベースにつくられた大小のバッグが、無造作に置かれていた。 吸い寄せられるように中に入ると、どれもこれも欲しくなるようなバッグばかり。店の奥には工業用ミシンが置いてあり、製作者本人と思われる女性が一人、別の机に向かって座っていた。 決して安いとは言えない価格であったが、あまりに気に入ったので、小さめのものを一つ購入した。今ではGrand Central駅でたまに開催されるクラフト・フェアに出店したりして、だいぶ知名度が上がってきたようだが、当時は知っている人も少なく、同じバッグを持っている人に街で出会うことはなかった。(今でもほとんど見かけないが。) それからというものの、East Villageに行く度に、彼女の店の前を通るようになった。子供がじっとしていられないので、店の中に入ることはほとんどないが、いつもうっとりしてショーウィンドーを眺めている。 そんなあるとき、夫が「そんなに好きなら自分でもやってみればいいのに」と言った。私は昔から物をつくることが大好きだった。訓練を受けたことはまったくないが、子供の頃から絵を描いたり人形をつくったりすることに夢中で、大人になってからはワンピース、セーター、ベビー服、その他いろいろなものをつくって楽しんでいた。でも、それはあくまでも趣味の世界であって、本業は常にまったく違う世界にあった。本格的にアート系の勉強をするなど、考えたこともなかったのである。 夫のこの一言で、NYのあらゆる美術系の大学のカリキュラムを調べた。Parsons School of Designにもバッグづくりの講座はあるようだが、どう見てもFITの講座の方が内容が濃いと思われた。かくしてFITの学生となったのである。 今でもElaine Arsenaultのポストカードを机の上に置いている。
by oktak
| 2005-05-12 09:27
| NY
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