時は1983年、イギリスはヨークシャーの高校生8人が、名門大学合格を目指して名物教師の特別指導を受けるというストーリーに惹かれ、観たいと思っていた。
まったく知らなかったのだが、これは舞台作品を映画化したものらしい。なるほど、それで台詞が多いのだと納得。 見ものは、文学や演劇をこよなく愛する年老いた教師と、受験のためのテクニックを効率よく教えようとする若き歴史教師の対比。前者の授業は支離滅裂のようでいて情熱にあふれ、そのお陰で生徒たちはWilliam AudenやThomas Hardyを諳んじている。それに対して、後者は「歴史において、真実は重要ではない」と言い切り、いかにOxbridgeの教授陣にアピールする文章を書くかを指導。こう書くと、いかにも前者が魅力的で後者がつまらないようだが、そうではない。若い教師も頭脳明晰で、生徒を次第に虜にしていく。そしてその人間性も、決して単純なステレオタイプとしては描かれていない。 味のある役者や、ところどころに挿入された詩や劇の引用、ウィットの効いた台詞は純粋に楽しめたのだが(ちなみにこの映画の分類はコメディ。Dead Poets' Societyなんかとはまったく違う雰囲気)、ストーリーラインがやや散漫。複数のサブプロットがあるのだが(老教師Hectorによるsexual abuseや、新米教師Irwinとスター生徒Dakinの微妙な関係、最後のHectorの死など)、あまり意味がなく、ごちゃごちゃと雑多な展開を詰め込まない方が、作品全体がよく仕上がったのではないかと思った。もっとそれぞれの登場人物の言葉をじっくり楽しめる作品にしてほしかった。おもしろいキャラクターと魅力的な状況設定を、もう少しうまく活かせなかったのだろうかと思ったが、脚本を書くのは容易ではないのだろう・・。物を生み出すことに対して、批評することは、あまりにも簡単だ(笑)。
by oktak
| 2006-11-29 08:54
| 映画
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