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労働の値段

 ここのところ明けても暮れてもバッグを作っているような気がするが、どんなに頑張っても一日に一つしか作れない。私の場合、二人の子供を保育園に預けているわけではないので、自分の仕事に費やせる時間はきわめて限られている。特に昨年下の子が生まれてからは、ベビーシッターさんが来てくれている時と、子供が寝静まった後だけが「自分の時間」である。

 そこで考えてしまうのは、バッグ一つ当たりにかかる自分の労働のコストである。昨日アップしたポーチは、型紙づくりから完成まで、3時間はかかっただろうか。まずデザインと寸法を決め、それに基づいて型紙をつくる。(型紙はきちんとつくると、こんなに単純な形のポーチでも8枚必要である。それを厚いパターン紙をナイフで切ってつくる。)使う布すべてにアイロンをかけ、型紙を置いて裁断。場合によっては接着芯を貼り、さらにフェルトを貼ってしつけ。それからパーツを縫い合わせていく。その都度、チマチマとアイロンをかける。面倒でも各工程でアイロンをかけないと、なんとも素人くさい出来になるのである。

 FITのコースでは、製品の価格の設定の仕方についても学習した。その際、当然労働コストを考えねばならぬわけだが、先生が使ったモデルケースで、そのコストは$1.25になっていた。COACH製品の大半は中国産である。そして中国の労働力は安い。バッグ一個当たりにかかる労働費用は、実際こんなものなのかもしれない。
 一方、私の一時間の労働はいくらなのだろう?ニューヨーク州の最低賃金は、2005年4月現在$6.00である。(来年1月1日には$6.75に上がることが決まっているらしい。)最低賃金で計算しても、3時間かかれば18ドルである。出来上がったバッグの値段を決めるには、これに材料費や光熱費などその他の経費を足さねばならない。すると、なんともお高いポーチになってしまうではないか!

 こうして考えると、自分で作った品物を販売する道は険しい。最低賃金以下で働く覚悟をするか(笑)、製作工程を効率化するかのどちらかしかなさそうだ。もちろん、一度つくった型紙は何度でも再利用できる。型紙から起こさずに済めば、それだけ製作にかかる時間も短縮される。また、同じ型・同じ生地のバッグを複数まとめてつくれば、やはり労働時間は短縮されるはずである。
 しかし、結局価格の面では、中国で大量生産されるバッグにはかなうはずもない。NYの路上では、一個5ドルで革のバッグが売られている。結局、この5ドルのバッグでは決して得られないセンスと満足感を提供する、粋な作品を作っていくしかなさそうである。
by oktak | 2005-04-20 09:11 | ビジネス
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