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夫の実家にて

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今年も、福島県郡山市の夫の実家を訪れた。
幸いにも、先般の震災の被害は比較的少なく、義理の両親も、周りの人々も元気だった。
でも、所々に震災の爪痕が残り、複数ある蔵のうちの一つは取り壊されていて、すでにまっさらになっていた。

壊された古い蔵の中には、およそ100年前からありとあらゆるものがしまわれていたのだが、両親に整理する気力も体力もあるはずもなく、市に連絡を取って、歴史的に貴重と思われるものを自由に持っていってもらったそうだ。

それでもたくさんの品が残り、それらは隣の蔵に移動されていた。
私が古い物好きであることを知っている義母は、ある日蔵の中を見せてくれた。
すると、埃まみれの珍品が出てくるわ、出てくるわ。大正時代の電熱器、見事な草書でびっしり埋め尽くされた金屏風、嘉永生まれのご先祖様の肖像画、無数のお膳や漆椀(一番上の写真)。

蓋付きの漆のお椀なら、来客時に使えるかもと思って、ほんの一部を取り出し、洗ってみた。
するとやはり相当年季が入っていて、底や淵の漆がはげているものが多く、使うことはできない。
それにしても、色は全体が真っ黒のものから、朱色のもの、内側だけが朱色のもの、形は飯椀から汁椀から平椀、種類別に麻の袋に詰められた何百もの椀は、何のためにあったのだろう。後日、東京に住む夫の伯母に聞いたところ、昔田植えや収穫を手伝ってもらった人たちの賄い用だったのだとか。また、義母によると、近所で冠婚葬祭があると、これらの椀を貸し出していたそうだ。それで、どこの椀かわかるように、すべてに夫の実家を示す、¬十の印が塗られていたそうな。(この印は家紋とは別で、なんと呼ばれるのだろう?)

椀は持ち帰れなかったが、小さな重箱を一ついただいてきた。
また、夫が高さ1メートルほどの小物入れ用の箪笥を取り出して磨き、義父が使えるようにと置いてきた。
古い物がまた息を吹き返す。なんとなく、嬉しい。

とても蔵全部を探検することはできなかったので、毎夏、夫とぼちぼち発掘・整理をすると、義母に約束した。

(真ん中の写真は、さまざまな蔵の鍵。下は、夫実家にある「電話室」。)
by oktak | 2011-08-29 23:04 | 里帰り
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