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無償労働の落とし穴

数ヶ月前に、DV被害者をサポートする非営利組織でボランティアを始めた。
当初は、主に日本人クライアントの通訳をする予定だったが、それだと不定期なので、せめて週一度、定期的にできることをしたいと思い、緊急ホットラインのトレーニングも受けた。以来、毎週わずか4、5時間ではあるが、ホットラインの応対をしている。

8月は里帰りをしたため休ませてもらい、昨日久々に出かけた。
すると、同じ時間帯に、私以外に二人もボランティアの方が来ていた。
ホットラインは忙しいときには二人いると助かるが、どんなに忙しくても三人は必要ない。暇なときは、一時間に数本しかかかってこないこともあり、一人でも手持ち無沙汰なくらいだ。
スケジュールに間違いがあったのかと、私たちは顔を見合わせた。

ホットライン担当職員が遅れて到着すると、「今日はたくさん来てくださって嬉しい」と笑顔でおっしゃる。三人のシフトが重なっていることを承知の上、誰にも通知しなかったのだ。

これが意味することはただ一つ。我々ボランティアの時間は、有償で働く人の時間と同等の価値があるとみなされていないのだ。無償労働は単なる趣味だと思われているのか、我々がよほどの暇人だと思われているのかわからないが、不要な人員がいると知っていて、あえて労働力を再分配しない担当職員の怠慢、傲慢に呆れてしまった。

実際にボランティアをしている人たちは、学生さんだったり、フルタイムの仕事をしながら、休みを使って来ている人だったり、暇人は一人もいない。そもそも、暇であっても、わざわざ長時間のトレーニングを受け、電話応対及び内容の記録の複雑なプロセスを覚えるのは、簡単なことではない。また、私が出会った人たちは皆通勤に片道45分〜1時間かかっている。暇だからといって、自分のレクリエーションのために、できることではないのだ。(正直、私はシフトに行く前、気が重い。)

そこで、ボランティアやインターンを利用されている方々に、声を大にして言いたい。
彼らの時間を、無駄にしないでいただきたい。有償で働く人と同等のリスペクトを持って、接していただきたい。

アンペイド・ワークの落とし穴は、採用側の敬意の欠如にある。
私が働く組織では、二ヶ月に一度、ホットラインのトレーニングを実施している。毎回、新たなボランティアが二十数名、参加する。本来、このペースでボランティアを採用していたら、ホットラインのシフトはすべて埋まり、人が余ってしまうはずである。ところが実際には、常に人が足らない。それは、定着率が低いからに他ならない。人が定着しないのは、仕事がきついせいもあるが、今回のように、ボランティアの時間がないがしろにされているためでもあると思う。

人を大切にしないから、定着率が低く、絶えず新人の採用・トレーニングをおこなうはめになる。
複雑な仕事だけに、新人を育てるコストは大きい。組織にとって、無償で労働を提供してくれる人(しかも、その多くは極めて有能だ)は、宝であるはずだ。「アンペイド=質が低い」という偏見がどこかにあるのだろうか。採用する側に立つ方々には、是非自問していただきたい。
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by oktak | 2015-09-18 21:54 | 日常 | Comments(0)
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